てらさんそらくん３７

ソラ君「こんな夢を見ました。
　あるところで、一人の女の人と出会いました。その人はとても優しくてすぐに仲良くなりました。別れるとき、もう一度会えるかなって尋ねると、彼女は優しく首を横に振りました。そこはゲームの世界で、ゲームをしていたときの記憶は頭の中には残らないようになっているのです。
　それは、一時の……楽しい夢をつなぐ世界。目を覚ますとおぼろげで、現実には持ち込めません。科学的に楽しい夢を見ることは、人体の疲労回復に役立つことが証明され、娯楽技術の粋を駆使し夢の世界を一つのゲームとして創造するに至ったのです。
　そのゲームには二つのやり方があって、現実の記憶を持ち込むか、夢と同じように記憶にはないけれど、自分というベースが存在しそこにいることに疑いを抱かない。けれども、共通することは目を覚ませば、そのことは忘れてしまうこと。夢の世界になんか捕らわれては本末転倒だからです。それと、知らずにいると言うことは毎回新鮮な気持ちでいられるということ。そのゲームを作る上で必然の機能だったのです。
　だから、僕は笑顔でその人とお別れをして、目を覚ました。僕は何となく泣いてしまいました」
テラさん「……え、どこまで夢？？　夏目漱石の夢十夜のぱくりっぽい始まり方だけど」
ソラ君「変な夢ですよねえ。でも、楽しいはずのことなのに覚えていることが出来ないっていうのは何となく切ない気がします。だから、ちょっと書き加えれば、まんまＳＳもしくは短編があげれそうですよ」